感情心理学を学ぶ駆け出し研究者兼マーケターのブログ

大学院と組織開発ベンチャーに属しながら感情心理学を肴にする日々の苦悩と葛藤を綴るブログです。27歳ですが37歳に見られます。

社員の職場復帰を成功させるために必要なこと〜マネージャーが理解すべき"ストレスの階段"〜

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先日記したこちらの記事。

courage4u.hatenablog.jp

 

この中では、『健康経営』に関して紹介しながら、職場復帰のために必要な4つの観点について紹介しました。

 

そこで次は、そんな職場復帰をしようとする部下も持つマネージャー、もしくは休みそうな部下を持つマネージャー、そんなことは今はないもののとても気になっている、、、というマネージャーの方向けに、ビジネスマンの"ストレスの階段"というものを紹介します。

今回もこちらの本、『ストレスがなくなる働き方』より。

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この本は、元々デンマークで出版された『LEDEREN SOM STRESSCOACH』という本が元になっています。

Lederen som stresscoach | Arnold Busck

 

その中で、この"ストレスの階段"というものが紹介されているのです。

 

THE STEPS OF STRESS(ストレスの階段)

ストレスの階段、つまりストレスにはこんな段階があるんだよということが記されているわけですが、これ、単に項目だけ記すと以下のように5つしかないのです。

・常温段階

・高温段階

・過熱段階

・溶解段階

・燃え尽き段階

 

 なんだかシンプル、と思われるかもしれません。そして、よくあるこんなストレスあるよねえというものに近しいのかなと思いながら読んだのですが、かなり画期的です。

というのも、それぞれの段階がリアルに描かれているだけでなく、その時にマネジメントサイドが何をすべきか、単に行動だけじゃなく、その時に気をつけるべき考えの部分、持っておくべき思考、大切にする感情という、根本的なところをかなり細かく記しているのです。

 

正直、読んで感激しました。

『これがあると、世のマネージャー陣にとって結構すごい示唆になるな』と。

 

 実際、世の中の会社の中を見てみると、『働き方改革』や『健康経営』の文脈で多くの思考・行動が取られています。

とはいえ、実際に人の状態を分類しようとすると、メンタルヘルスか、そうでないか、という極端な二元論に陥っているものもよく見ます。

でも、現実ではそんな単純明快なものではなく、いくつかの段階があって、それぞれに対して行う対応も異なるはず。

 

以下では一旦それぞれの段階がどのようなものなのかを記していきます。

あなたの会社では、それぞれの段階にどれくらいの割合の社員が当てはまると思いますか?

そんなことを考えながら御覧いただければと思います。

 

■常温段階:自分の仕事にやりがいを感じ、質の高い業務ができている理想的な状態 

・仕事量、仕事の質、与えられた時間のバランスが取れていると感じている。つまり、要求と資源のバランスがちょうど良いと考えている

・仕事の質がおおむね高く、適度に安定している。変動があったとしても良い方向への振れであり、普段よりも大幅に良い仕事ができてることの表われである

・職務を十分に果たし、やるべきこと、担当分野、優先事項の全体像をしっかり把握できていることが行動に表れている

・自分は有能であり、その仕事に向いていて、忙しすぎることはないと感じている。また、状況をコントロールし、仕事やワークフローに振り回されることなく、うまく対処できていると感じている

・内省力、学習力、改革力、成長力に優れている。新しい手法を理解し、受け入れる姿勢があり、上司であるあなたと意見を交わすことにも前向きで、あなたや同僚、他の管理職からのフィードバックを受けたいと思っている

 

高温段階:要求と期待に適切に応えることが難しくなり始める

・全般的に速いペースで仕事をするようになる。早口で動きも速くなり、いら立った様子や「忙しいから、もう行かなきゃ」と言いたげな態度を見せる

・ほぼ毎日残業しているか、残業の記録をつけるのをやめている。週末を含め、勤務時間がいにも仕事をしてメールを送信する。時間外労働が例外ではなく常態化している

・同僚との交流の優先順位を下げるか、仕事を優先してまったく交流しなくなる。社員食堂での昼食を避け、昼食をとるにしてもデスクで済ませる

・メールやスケジュール張の管理ができなくなる。メールの返事が遅れ、直前になって会議を設定し、人が設定した会議の出席要請には応じない

・重大な局面ですぐにカッとなり、人を激しく非難したり、見下した態度をとったりする

・仕事が気になって会議中は上の空になる。抱えている仕事量のことあ頭から離れ、常に気に病んでいる。携帯電話を片時も離さず、メールをチェックし続ける

 

過熱段階:数々のストレス症状が表れはじめる

・普段よりも著しく速いペースで仕事をし、真夜中などのますます異常な時間帯にメールを送ってくる

・あなたへの接し方が変わり、言動の激しさや頻度が変動するなど、一貫性がなくなる。しばらくあなたを避けていたかと思うと、あなたと話す必要があると言い張り、メールや、電話を頻繁によこしたり、オフィスで絶えずつきまとう

・仕事のペースがさらに上がり、話し方も動作も速くなって「こんな会議に出ている暇はない」と言いたげなシグナルを発する

・物事の優先順位が驚くほど合理性に欠けている。重要なことを忘れ、さまつなことに力を注ぐ

・非常に神経質な様子になる。手が震える、落ち着きがない、視線が定まらないといった症状が表れる

・呼吸が浅く、速くなる

・視線を合わせるのを避け、こそこそ行動するなど、対人能力が低下する

・仕事の進め方や、焦点の絞り方、意思疎通に混乱が生じる。話をしていると、ある仕事から別の仕事に、あるテーマから別のテーマに、突然、話題が飛ぶ

・本来なら意欲を燃やすような重要な任務を「ドアをバタンと閉めるように」拒絶する。逆に、あなたが他の人に任せようとした任務や優先順位の低い仕事に固執する

睡眠障害を抱えていると口にする。あるいは、睡眠不足による疲労が目につく。顔色が悪い、目の下にくまができる、震えが出るなどの睡眠障害の兆候が表れる

・仕事について心配する様子が見られる。本人と話をすると、あまりにも現実離れした心配であることがわかる。「全てか無かのシナリオ」で話し、その影響をとてつもなく過大評価している

・周りから孤立し、同僚との交流を避ける

・忍耐力、共感力、対人能力が低下しているため、激しい口論を引き起こす場合がある

・以上に加えて、高温段階のセクションで挙げた症状も深刻化する

 

溶解段階:ストレス症状の深刻化と健康不良がきわめて明白に

・過熱段階のセクションで説明した症状が全般的に深刻化する。もっと多く仕事をこなそうとするか、自分の殻に閉じこもるか、あるいはその両方の様子が見られる

・ますます多忙で混乱しているように見える。おかしなことを口走り、仕事や人を混同する。逆に、非常に物静かで内にこもることもある

・仕事がいっそうぞんざいで中途半端になる。内容に大きな矛盾を残し、重要な部分が欠落したまま資料を提出する。締め切りを守れず、忘れることさえある

・ますます多くの重大なミスをするようになる。たとえば、不正確な報告や、誤った判断、本人らしくない深刻な品質管理の不備が見られる

度忘れが多く、大事なことを思い出しにくくなる

・プロジェクトや、自分自身、同僚、職場に関するささいなことを大ごとのように吹聴し、現実と乖離した深刻な懸念を口にする。たとえば「会社が潰れかけている!」、「取締役会が事態を知ったら、私たち全員クビだ!」などと口走る

・判断力が失われ、急接近してくる車のライトに照らされたウサギのように身動きが取れなくアンル。本rないなら難しくないはずの判断が(1日中頭の中を占めながらも)手に余ってできなくなる

・まわりから孤立する。同僚や、休憩時間、会議、社交行事を避けるようになる

・漠然とした身体的不快感や、疲労、胸の痛み、腕・足・指のヒリヒリする痛み、資料の低下、心臓の不調などの理由で病気休暇をとる

・職場で失神したり気分が悪くなるなど、急激に体調が悪化する。倒れたり、意識を失ったり、泣き崩れたりする場合もある

 

燃え尽き段階:関心や情熱、気力を持てない重症な段階

・消耗し、疲弊し、感情がないように見える。活力や気力を完全に失っている

・何もかも意味が内容な、失望した様子を見せる

・自立心に欠け、自分だけでは仕事ができず、明確な指示を必要とする。かつては説明が要らなかった業務も、かなり明確な指示を出すか、マンツーマンで指導することさえ必要になる

・この段階まで事態が進んだことを恥じる感情や罪悪感をしばしば示し、自分やあなたがそれを防げなかったことに対する怒りといら立ちをあらわにすることもある

・自分の仕事にほとんど関係のない状況や結果に対して、個人的責任を強く感じずにはいられなくなる。あるいは、他の人たちに対する感受性がどんどん鈍くなる

・自分を認識できないと言い、自分や他の人たちが見知らぬ人のように感じられると話す

・まったく働けなくなる。記憶力、計画力、判断力など、仕事の遂行に関わる認知力が大幅に低下する

・溶解段階の症状の一部も表れ、さらに深刻化する

 

果たして、各段階にどれくらいの人が存在するのか

さて、いかがでしたか?

あなたの会社だと、各段階にどれくらいの割合の人がいると思います?

 

私の会社はまだ6人しかいないので考えにくいですが、各大きな会社さんを想像してみると、これはかなり直感的なこれは私見ですが、

ストレスが『常温段階』の人は、正直1割いるかな、、、いや多分いないよな、、、という感じかなと感じました。

で、それ以外の方がそれより下に散らばっているイメージ。(もちろん、業種職種によってもかなり分かれますおそらく)

 

、、、そう思ってしまう自分の感覚が合っているのかどうかは定かではありませんが、なんとも悲しい状態です。

 

人の動機付け6段階のうち、ビジネスマンは『心理的圧力』による傾向に

これ、同じようなジャンルの話で、マッキンゼー社が出している調査で『人の動機付け6段階』というものがあります。

 

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この中では、人の動機には6段階存在すると。以下の6つですね。

・楽しさ

・社会的意義

・成長可能性

心理的圧力

・経済的圧力

・惰性

 

で、このうち、上の3つが直接的動機、つまりパフォーマンスを高める。上に行けば行くほど、その度合いが強い。

そして下の3つが間接的動機、つまりパフォーマンスを下げる。下に行けば行くほど、その度合いが強い。

そんな内容になっています。

 

そして、弊社が独自で人と人のやりとりを700ほど調査分析したことがあったのですが、心理的圧力がかなりの割合で多かったんですよね。

 

どれだけ細かく相手に関心を持ってあげられるか

これらから言えること、それは、

結局どこまで相手に関心を持って接することができるか、それに尽きるのかなと思うのです。

 

相手に関心を持つだけでストレスがなくなるわけではもちろんないですが、少なくとも相手のためにできることを考え、行動することができます。

それがあるかないかで、相手、もとい部下のそれからはかなり決まってくるのではないでしょうか。

 

その対応方法や持つべき考えに関しては、ぜひこちらの本を。

この内容に、本当に感激します。

 

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では、また次回。