社員の職場復帰を成功させるために必要なこと〜マネージャーが意外と把握しにくい"業務の難易度"〜
2回に渡ってお送りしてきた『社員の職場復帰を成功させるために必要なこと』。
初回では『健康経営』から『職場復帰の際に気にしなくてはいけない4つの前提』を。2回目では『部下のストレスがどのような段階を踏むか』から『部下の動機』を記してきました。
3回目を一旦最後にしようと思いますが、今回は『マネージャーが意外と把握しにくい"業務の難易度"』を紹介しようかと思います。
今回も、情報の元はこちらの『ストレスがなくなる働き方』。
あまりにも素晴らしい内容なので、ここら辺に関してご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
というか、読んでいただきたいですし、あまりに濃い内容で今の私では完璧に要約することができないので、この3回はその触りだけ書き記しておりますw
- 職場復帰の時に大切な『仕事の内容』
- デンマークの産業衛生体制が生んだ『業務の分類』
- 感じているストレス度合いが高いメンバーによく共通する『業務の分類』
- 色付けした業務を復帰後にやろうとすると、実際に起きるであろうこと
- その時に、どんな対応に各社が取り組んでいくのか
職場復帰の時に大切な『仕事の内容』
職場復帰します!というタイミングで最初に組織・チーム内で出てくるのが、この復帰する方の『仕事の内容』というもの。
前働いていた時と同じ内容を任せられるなら良いのですが、
・他のメンバーに渡してしまっている
・すでにその仕事は無い
というケースもあるでしょう。
また、そもそも復帰直後の方に難易度のバランスが合っていない仕事を振ること自体、状態を悪化させる原因になります。
では、どんな『仕事の内容』にすれば良いのか、、、実際にその上司だったり、同僚からしても、難しいところですよね。
デンマークの産業衛生体制が生んだ『業務の分類』
そんな中、この本の中では、デンマークの産業衛生体制により生み出された、とても簡単な『業務の分類』があるそうです。
その分類とは、ごく単純に、メンバーが上司の手助けを得て、自分の業務を「緑色」「黄色」「赤色」に分類するというものです。
緑色:メンバーが今すぐにでもこなせると感じている仕事です。比較的重要度の低い業務です。
黄色:メンバーが1ヶ月か2ヶ月後にはこなせるようになりたいと考えている仕事です。
赤色:長い期間をかけてようやくできるようになると思われる仕事です。つまり、完全復帰の直掩あるいは完全復帰後に可能になるような仕事です。
感じているストレス度合いが高いメンバーによく共通する『業務の分類』
上記のような3つに分ける分類ですが、とはいえ『いや、これを聞き出すのが難しいんだよ!』『自分に自信のあるメンバーだと、難易度高めなのを低く見積もってしまったりするよね、、』『できれば通常言われる業務の分類がほしい』みたいな言葉が出てきそうですよね。
そこで、感じるストレス度合いが高いメンバーによく共通する『業務の分類』をこちらに記すことにしましょう。
■緑色
・業務の範囲が明確で、内容がきちんと定められている。優先順位が低く、意思決定の必要性が少ない
・決められたとおりに行う。予測が可能
・緊急性がない。同僚からほとんど期限を求められない
・スタッフにとってやりがいがある
・自分1人でこなせる。あるいは数名の選ばれた人たちと行う
・頻繁に休憩がとれる
・扱いが難しいクライアント、顧客、患者と関わらずに済む
■黄色
・一定のレベルで他者との協力が必要
・ある程度の優先順位づけと、全体を見る視点が必要
・顧客、一般市民、患者、パートナーとの関わりが必要。「対処しやすい」相手が望ましい
・部門の重要な役割を担う。しかし、時間的制約に完全に縛られる仕事ではない。
■赤色
・全体を見渡す視点が必要。情報と作業の優先順位づけが必要
・プロジェクトの運営
・他者の成果について責任を負う
・よく知られた重要なプロジェクト
・包括的な視点が必要となる高度に複雑な業務
・複数の、扱いが難しい利害関係者やパートナーとの関わりが必要
・先行きの予測が難しく、迅速な対応が必要
・新しい事柄の学習が必要(他者から見れば新しく学ぶことがほんのわずかであったとしても)
・期限までの時間が(非常に)短い
色付けした業務を復帰後にやろうとすると、実際に起きるであろうこと
実際に職場復帰される方をこの中におこうとすると、起きうる問題があります。
それは、的確な業務にアサインできない、という問題です。
それは、いくつかの要因から起きうるものですが、例えばメンバー側が『私はやはりこのチームに必要な存在だ』と思ってもらいたくて最初から黄色や赤色の仕事に取り組もうとするケース、自らの自尊心を守るために赤色の仕事から行おうとするケース、上司側では『今これがチームには必要だから、少し難易度高いかもしれないけど黄色をやってもらおう、、』というような実際の業務に当てるケースもあれば、『あいつは元々これくらいできたはずだから、最初から赤色で大丈夫だ』というケースもあります。
やはりその時に行うべきは、職場復帰する前にしっかりその該当メンバーと話し合って、業務の内容
を決めるということ。そして、チームの他のメンバーもそれに対して同意をした上で、該当メンバーと同僚ができるだけフラットに話せるような状態にしておくことでしょうか。事前に仕事以外のところで会話するというのも良いのかもしれないですね。
ストレス回復による職場復帰だけに留まらない、この課題
実際に職場を休み、そして復帰する人の中には、ストレスが原因でない人ももちろんたくさんいます。
産休開け、育休明けにどう会社に戻るか、というところはまさに各社が直面している課題でしょうし、これから多様な働き方を模索していく時代の中で、そのような状態は頻繁に各所で起きることでしょう。
その時に、どんな対応に各社が取り組んでいくのか
よくある『制度整えられてますよ』という表向きな話や『復帰率はこんなに高いんですよ』という復帰だけしてそれからのその方の満足度や離職率を公表しないというような話がある中で、
彼ら彼女らが自然と復帰し、楽しく満足して働きがいを持って過ごせるようになる、、そんな本質的な状態をどれだけの会社が作っていけるのか、それらは、もちろん会社の課題なのかもしれませんが、一番関わるのはその上司・チームの同僚です。
実際にどのような対応をしていくのか、、、そんな時にはぜひこの本を読んでみてください。
何度も言いますが、オススメです。
というわけで、この3回に渡る『社員の職場復帰を成功させるために必要なこと』もこれにて一旦終了。
また次回の『迷走めも』にて。