感情心理学を学ぶ駆け出し研究者兼マーケターのブログ

大学院と組織開発ベンチャーに属しながら感情心理学を肴にする日々の苦悩と葛藤を綴るブログです。27歳ですが37歳に見られます。

『人生の振り返り』を効率的かつ濃厚に行うための手順

f:id:yuki_kitamu:20180101205531j:plain

 

少しばかり前、こんな記事をあげました。

courage4u.hatenablog.jp

この『1年の振り返り』を派生させて、『人生の振り返り』をやってみたというのが今回のお話。

 

 

『1年の振り返り』の大切なポイントと、その背景

この『1年の振り返り』にて大切とされているのが、以下のようなポイントたち。

  • 利害関係のない相手と行う
  • できるだけ全く異なる要素を持つ相手と行う
  • 3〜4名で行う
  • 肩書や権威を持ち出さず、平等に接する

 

これ、主にはマーク・グラノベッター氏が1973年に論文で発表した「弱い紐帯の強さ(The strength of weak ties)」を元にした考え方なのです。

早稲田大学ビジネススクールの入山氏がこの内容について詳しく記しているので、以下に引用します。

一般に「強いつながり」とは、接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近い、血縁関係にある、といったような関係を指し、その逆が「弱いつながり」にあたると記している。

つながりの強いネットワークでは、いろんな人から同じ情報を得ることになり、情報流通の無駄が多い。逆につながりが弱ければ、多様な情報を効率良く入手できるという。

「弱いつながりをたくさん持っている人は、普通は手に入らない情報をたくさん入手できます。イノベーションは既存の知と知の組み合わせで起こるため、弱いつながりを多く持っている人の方が基本的にイノベーティブなんです。これも、世界の経営学研究では多くの研究者が同意するところです」

bnl.media

 

こちらではどちらかというと、「弱いつながり」を繋げ続けることがとても有益な情報やフィードバックを生む、ということが言われています。

これはよく「知の探索」という概念で語られることが多いものですが、この概念は、米スタンフォード大学の著名な経営学者ジェームズ・マーチが1991年に発表した論文をもとにしたもので、この論文には「知の探索」だけでなく、「知の深化」と言う概念が存在します。

「弱いつながり」が様々な多くの「知」を得ていく反面、「強いつながり」では多くの「知」を得るのではなくてその「知」をさらに深めていきます。

 

具体的に考えると分かりやすいかと思います。

自分と全く共通点のない、全く知らない人と会ってみると普段知らない多くの「知」を得ることができます。逆に、普段から会っているとても深い仲の友人と会うと、自身の考え、つまり「知」をさらに深堀りしていくことができます。

 

『1年の振り返り』の背景を逆転させて考えてみると

さて、そんな背景にて上記の「一年の振り返り」が行われているわけですが、私は以下の2つを思ったのです。

  • これ、1年じゃなくて人生という大きな単位に変換できるかな?
  • 自分の予想もつかない「知」を手に入れるためでなく、「知」を一気に深化させるのも良いのでは?
  • 1人あたりにかける時間をもっと増やせないか?

 

そこで、私はやってみることにしました。

  • できる限り知らない人ではなく、よく知る人と共に
  • 自分の1年ではなく、自分の人生を
  • 20〜30分ではなく、1時間かけてじっくり振り返る

 

要するに、人生という単位で「知の深化」をグイグイ行うということです。

 

『人生の振り返り』の行い方

さて、そんなこんなで『人生の振り返り』を行うことにしました。

私の行った手順は以下の通り。

ー事前準備

  1. 自分の人生について、その出来事とそれぞれについての感情や思考をある程度把握してくれていて、内面まで含めて全て気兼ねなく話せる相手を探す(「知の深化」を強化するため、1対1で実施)
  2. 余裕を持って、3時間を互いに確保できる日程調整を行う
  3. 当日を迎える前に、人生振り返りシート(※1)を記す

ー当日

  1. 発表者は、シートを元に聞く側に自身の人生を話す
  2. 聞く側は、自分だけが知っているような内容を元に質問とコメントを繰り返す
  3. 発表者は、聞く側の質問やコメントに対して全てを曝け出すかのように回答していく

   ×2名分

ー当日後

  1. それぞれの回答内容を互いにEvernoteに記す
  2. その記した内容を互いに共有する
  3. 記した後に感じたことも互いに追記する

 

※1:人生振り返りシートの例(『1年の振り返り』フォーマットを踏襲)

f:id:yuki_kitamu:20180101173532p:plain

 

個人的な感想

さて、上記の方法にて私自身『人生の振り返り』をしてみたわけですが、その感想をば(細かく記すと個人情報すぎるので、ざっくりと)。

  • 相手のことをちょいちょい知っている気になっていても、実はそうではないことに気づく。相手のことをさらに知ることができる
  • 自分のことを深く知っている人から、他の人では疑問に思わないようなことを問われることが強い刺激に
  • 1枚のシートに自分の人生を凝縮して記そうと思うと、とても大きな出来事、ターニングポイントとなったようなものを記す
  • 自分が気づいていなかった人生のターニングポイントに気づく
  • 生まれた時から今に至るまでの各所の連結感を確認することができる
  • 1時間もの時間をかけると、掘れる考えがかなり細部にまで至る

 

なかなか濃ゆい時間を過ごすことになりますが、自分のことを今まで以上に深堀りたい方にとってはかなり良きものになりそうなので、ぜひお試しあれ。