「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 3 >
さて、前回に引き続き、参加してきた「CES」について記していこうと思います。
今回でこの流れとしては最終話。
- 「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 1 > - 「CES」最新トレンド
- 「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 2 > - 今回の注目ポイント
- 「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 3 > - 歴史観とこれから
なお、1と2にそれぞれ最新トレンドと注目ポイントを記しているので、そちらから先に御覧ください。
「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 1 > - 「CES」最新トレンド
「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 2 > - 今回の注目ポイント
では、今回の話題へ。
今回は、「CES」の今までとこれからについて。
「CES2018」最新のトレンドと注目ポイント< 3 > - 歴史観とこれから
51年前当時から今まで
CESは、今でこそ6万社が集まり18万人が来場する会となったわけですが、始まりはまったく異なる状態でした。
始まりは51年前。1967年に『Chicago Music Show』の派生系として、『Consumer Electronics Show』がニューヨークで開催されました。当時はLG, MotorolaやPhilipsなど14社が参加したそうです。日本からだと、Panasonicがこの時からとのこと。
1971年、この年はSONYがU-Matic VCRを出した年。
すでにこのタイミングで275社が出展していたそうです。
1972年、この段階ですでに今のような展示会の様相を呈しており、300社の展示と、4万人の参加者がいたそう。
1978年に体制が変わります。95年に至るまで、夏にChicagoで開催、冬はLas Vegasで開催、というように、Las Vegasでの開催が始まります。
1985年には、任天堂をはじめとしたゲーム産業がCESの仲間入りを果たします。
1993年、ついに初めてAppleが参入します。
1997年、それまでアメリカ各地で開催されてきたCESの場所を1つに集約することになります。そこで選ばれたのがLas Vegas。
2003年、Microsoftのビルゲイツ氏がBlu-rayを発表したのがこのタイミング。
2013年、QualcommやSAMSUNGが4KのTVについて言及した年。もはや、4Kは現実のものとなりましたね。
2014年、自動車産業にて一気に自動運転の波が。CES側もカーショーのようになることを恐れていたらしいのですが、一気に車が躍り出る形に。
トレンドの変遷
上記にて御覧いただいたように、1967年の開始から参加社数も人数も拡大し続けてきているCES。
もちろん、毎年新しいものが出てきて、トレンドがあります。
ただ、この2018年に語るべき事柄としては、昔と今の大きな変化でしょう。
- 個々の業界/個々の製品の展示→個々という境目が曖昧な展示
- 家電の見本市→もはや家電ではなく生活全ての見本市に
- 新しい技術は数年間新しい技術である→新しい技術は来年には古い技術に
個々の業界/個々の製品の展示→個々という境目が曖昧な展示
昔は、業界ごと、会社ごとに異なる製品を展示し、その新しさ、技術を競い合ってきました。SONYが世界中の家電メーカーと戦ってきたことを想像すると、分かりやすいでしょうか。
しかし、今となっては過去の話。全く異なる時代になってきたのでしょう。前のブログにも記しましたが、もはや「ネットワーク化」していく時代、「オープンイノベーション」的に他社と協働していく時代において、1つの会社が他の会社で出すものとは異なる1つの製品を出して競い合う時代ではありません。様々な企業が共に創り上げています。昔では考えられなかったことでしょう。だって、競合という壁を超えて、業界の壁を超えて、共に事業を進めるのですから。
家電の見本市→もはや家電ではなく生活全ての見本市に
家電の見本市として始まったCES。
しかしもはや、家電だけでは全くありません。生活に関わる全ての物事が対象です。その生活というのは車や家電だけということではなく、農業、医療、エンターテイメント、健康管理など、人の日々にありふれている要素全て、ということです。
新しい技術は数年間新しい技術である→新しい技術は来年には古い技術に
新しい技術があればそれは数年間、新しい技術として受け入れられていた頃もありました。そして、それが製品として消費者の手元に届くのにも時間が必要でした。SONYが1993年にCESに出したMiniDiscは、2000年代になってから消費者向けに売られるようになっています。
ですが、今となっては技術はすぐに追い越していきます。今年のCESで出たものは来年のCESではもう古いと感じられるかもしれません。製品化も、昔と比べたらもっと早いでしょう。良い例が、スマホかもしれません。数年前に消費者の手に渡ったスマホは、すでにCESではほぼ紹介されていません。今後の技術においてあまりに当然の前提になってしまい、技術でスマホ自体を語ることがほぼなくなりました。
今後の予測しうる世界
- 「ネットワーク」のハブをとる者が勝者となる
- 他社の追随を行う会社はさらに弾かれていく
- 日々の生活をもっと「便利に」から「楽しく」へ
「ネットワーク」のハブをとる者が勝者となる
他社の追随を行う会社はさらに弾かれていく
日々の生活をもっと「便利に」から「楽しく」へ
今までの製品はどちらかと言うと人を「便利」にするものでした。 もちろん、これからもその「便利」をさらに追求していくことも大事でしょうが、人は得てして「便利」だけを求める訳ではないです。「楽しい」から選ぶということが十分あり得ます。
今回のCESでは、人が「楽しく」あるための製品も多く見られました。例えば、HONDAの表情が変わり続けるあるロボティクスや、スマートホームももちろん「便利」なことは「便利」を伝えつつも本質的には「楽しさ」を感じてもらうための展示のほうが目立ったように感じます。
「CES2018」最新のトレンドと注目ポイントをお送りしてきましたが、いかがでしたか?
この3本立てでは出来るだけ私見ではなく総論であり前提となるような部分を記してきましたが、2018年が始まったこのタイミングにて読んでいただいているみなさまの今後のお仕事や生活を考える上で、少しでも参考になれば幸いです。
ちなみに、各個別の物事に関してどんなことを感じたか、考えたか、今後どんな行動をすべきなのか、といったことを諸々かなり衝撃・刺激を受けてきたので、そのかなり私見な部分は今後のブログに記したいと思います。
もしよろしければ、ぜひそちらも御覧ください。
では、また次のブログにて。