「フレドリクソンの広がりと生み出し理論」と「成功循環モデル」の接合点
感情心理学の分野で、「フレドリクソンの広がりと生み出し理論」というのがあるのですが、先ほどそれが『成功循環モデルの手前の話も描いた理論』だと腹落ちしたのでここに記します。
「フレドリクソンの広がりと生み出し理論」って、ちょっとマニアックなのでこちらに図を掲載。(お借りしてます)
ー感情心理学 感情研究の基礎とその展開 今田純雄・中村真・古満伊里 共著
これ、感情と健康を組み合わせて語られる時に登場する理論なのですが、簡単にいうと
(1)ポジティブな感情
(2)創造的思考、活動性向上、関係性向上
(3)資産(サポートやスキルなど)生産
(4)健康に
(5)さらにポジティブに
というループがありますよねーという話。
これが最初ネガティブな感情から始まると、上記とは逆の悪いサイクルが始まるということです。
で、これを見てふと、お馴染みのあれだ!と思ったわけです。
そう、MITのダニエル・キム教授が提唱している「成功循環モデル」。
まさにこのグッドサイクルを起こすこと、これが組織の命題であるというくらいまで、ちょいと落ち着きましたがここ数年の組織人事系ではどこに行っても取り上げられていた理論。
で、これと「フレドリクソンの広がりと生み出し理論」のどこが一緒なんじゃいという感じだと思うのですが、この「成功循環モデル」では、その最初の「関係の質」をどう生み出すかというところに言及していないんですよ。
「関係の質」を高めましょう!と言って、よく陥りがちなのは無理やりコミュニケーション量を増やそうというもの。
でも考えてみてほしいのですが、例えばあまり好きじゃない上司がたくさんコミュニケーションしてくるようになったり、飲みに誘ってきたりしたら、嫌じゃないですか?
「関係の質」を高めようとして逆に悪くなってしまうというのはなんとも悲しい現実ですが、起きていることです。
「関係の質」を高めるために必要なものが定義されていないがゆえ、それを行おうとする側は何をして良いのか分かっていないわけです。
それが!ポジティブな感情というだけで解明!
「関係の質」を高めるためにポジティブな感情が必要。ポジティブな感情が広がっていくことで、関係が向上すると。
ここでいうポジティブな感情は、単に自分の中の感情だけじゃなくて、相手に対してのポジティブな感情とともに、自分と相手の間にポジティブな感情が漂うことを目指しているというニュアンスも含んでいるのかなと。
このポジティブな感情って、思った以上に難しいはずなんです。
近しい関係、特に組織とかだと利害関係があるために、全てが全てポジティブな感情に自然にいるというのは至難のわざ。むしろ、ネガティブ感情満載だったりするケースもたくさんあると思うのですが、その状態でコミュニケーション取られても、嫌でしょう?