『僕は仲間と笑うことしかできないリーダーですから』と笑う、とある日本支社長の話
先日、とある外資系企業の日本支社長と2人でお寿司ランチをしながらお話をしている時のこと。
彼はこんなことを言いました。
『僕は仲間と笑ってることしかできないですから。仲間と一緒に笑うこと、それが自分の会社での役割だと思っています。』
トップ/リーダーの役割という文脈での情報は満ち溢れている
トップの役割、と言う文脈で語られることはもはや日本中・世界中に情報が散らばっています。
もはや、なんでそこまであるんだっていうくらい。
例えば、こんなもの。
■「リーダーの4つの役割」
・方向性を示す
・組織を整える
・エンパワーメントを進める
・模範となる
〜このように、会社の経済活動(経営力)、社員・従業員への気配り、社会性――などの観点をバランスよく満足させるリーダーが理想の社長像の一つではないかと考えられます。
社長の役割1:会社の方針や戦略を決める
社長の役割2:会社の状態をマクロで管理する
社長の役割3:スムーズな業務の仕組みを作る
社長の役割4:社員をそれぞれの能力に合わせた部署に配置
社長の役割5:会社に関する全ての責任を持つ
社長の役割6:会社の未来を継ぐ後継者を育成する
「確かに、そうですね。」と言う感じです。
でも、あまりに汎用的すぎて、これを聞いて見たからといって、実際の行動に落とすことは難しいでしょう。
結局これは手段であって、思想がなければこれらを動かしていくことはできないのだと思うのです。
リーダーの思想とは
では、リーダーの思想とは何か。
まずは思想の定義から。
広くは精神の活動全般をさすが,一般には感情や意志に対して思考的現象をいう。より厳密には総合的な認識対象を理解する悟性ないし理性の働き,またはこのように理解されたかぎりでの対象をも意味する。
実例を出した方がわかりやすいですので、いくつか挙げてみましょう。
PHP研究所の元社長の江口さんはこんなことをおっしゃっていますね。
『社長の役割とは「社員を感動させること」だ』
リクルート創業者の江副さんの『マネージャーに贈る言葉20章』も有名でしょうか。
<第1章>
マネジメントの才能は、幸いにも音楽や絵画とは違って、生まれながらのものではない。
経営の才は、後天的に習得するものである。それも99%意欲と努力の産物である。
その証拠に、10代の優れた音楽家はいても、20代の優れた経営者はいない。
<第2章>
マネージャーに要求される仕事には、際限がない。
より高い効果を上げるマネージャーは、要求されている様々な仕事のうち、一番大事なことから手がける。
仕事を受付順に勧めるような人は、優れたマネージャーとは言えない。
目の前にある仕事の中で、一番大切なものは何かをいつも考えていなければならない。〜
〜
1人1人、そして1社1社、適合する思想も、必要な思想も、求められる思想も、機能する思想も、異なるということでしょうか。
リーダーの思想で組織は変わる
『僕は仲間と笑ってることしかできないですから。仲間と一緒に笑うこと、それが自分の会社での役割だと思っています。』
そう語った彼は、おそらくその笑う瞬間を創り出すために、かなりの時間をメンバーたちの理解やコミュニケーションに割いているのでしょうか。
結構な数の部下がいながらも、その1人1人がこんな状態でね、彼にはこういうコミュニケーションをしていて、彼女にはこんな声をかけていて、こんな変化が最近あって、、、と、1人1人を名指ししながら今の状態とこれからの方針を語る彼を見ていて、部下の方々を知らない私でも、『この人の部下は、みんなおそらくこの人だからついて行きたいと思っているんだろうな』と内心感じておりました。
『仲間と笑うことしかできない』
そんな思想を持つリーダー、そんな風に自分で思想を形作ってきているような方とお話するだけで、聞いているこちらも笑顔になっちゃいますよね。