感情心理学を学ぶ駆け出し研究者兼マーケターのブログ

大学院と組織開発ベンチャーに属しながら感情心理学を肴にする日々の苦悩と葛藤を綴るブログです。27歳ですが37歳に見られます。

『社員の離職を抑えたい理由は1つ』と台湾企業の日本支社長が話したことから、『知見公開のセンス』について考えたという話。

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先日、電子パネルを製造する台湾の会社の日本法人支社長とお話をしていたときのこと。

『社員の離職を抑えたい理由は極論1つしかありません。』と、率直に言われて驚いたという話。

 

 

彼との出会い

彼とは去年の10月くらいに出会って、弊社のビジネスが面白いとおっしゃっていただいたというのと、組織のことについてディスカッションしましょうとお誘いいただいただいたものの、彼が日本にいる間になかなか予定が合わず、結局4ヶ月ぶりくらいに会ってお話をしました。

 

経営者にとって、自社の最重要課題は『離職』

1時間強、お話した中で弊社のサービスについて、弊社のクライアントが抱えるような悩みを台湾・中国企業の経営陣や組織長が持つのかどうか、そもそもの組織構成の違い、社員たちが求めることなどやりとりし、彼が教えてくれたことは多々あれど、一番響いたのは『経営者に自社の最重要課題ってなんですかと聞いたら、離職と答えるでしょう』というのがありました。

 

私はそれについて聞いてみました。

私:『え、それどういう意味ですか?』

彼:『そのままの意味で、社員の離職を抑えたいです。その理由は極論1つしかありません。』

私:『お金的な面ですか?それとも社内の人間関係とか?』

彼:『いえ、違います。もしかしたら私の会社の業態だからというのはあるかもしれませんが、でも他の業態の経営者と話していても最初に挙げるので、そうなのでしょう』

私:『というと?』

彼:『セキュリティ的な問題です。具体的には、自社内の知見が流出することが一番の問題です』

 

知見の流出を防ぐか、促進するか

日本企業でも、もちろんその側面はあるでしょうし、現に技術者や研究者が流出することによって他企業に知見がもたらされるケースなんてそこら中で起こっているでしょう。

特に高度経済成長期のように人・モノ・金を集約し続けることで成長し続けていた日本のあの時代においては、それは最も顕著なはず。

 

ですが、正直個人的に疑問だったのは、もはや人の出入りが日本よりも圧倒的に当然でキャリアアップするために転職を繰り返す人で溢れる中国系企業において、そこに課題意識が向いているというのがとても意外でして。

もはや人材の移動が当然のことなのであれば、その流出が起きる前に対処する何かしらの策を講じるか、そもそもそのような人材が流出しないような策を講じるのかが大事と思いつつ、もちろんそれはすでに試行錯誤済みでど現状以上にどうにかすることができないから、、、ということなのかもしれません。

とすると、外部のサービスを創る側としては、(1)そのような人材の流出を防ぐためのとても効果的な対策を講じるモノを作るか、(2)もしくはそもそも知見を流出というより出し合うことで互いの会社をより発展させていく仕組み作りを行うモノを創ることができればなと思いますよね。

 

この2つを考えてみたときに、現在の世界中のトレンドを踏まえて考えてみると、オープンイノベーション的な考え方で会社の壁を超えたような関係性を構築するためのサービスの方が今とこれからに適合する気がしますよね。

 

先日記したこちらの「CES2018」に関する記事にもありますが、世界の名だたる大企業が数十社集まって連携をし続けるこの時代において、もはや競合だからとか、そういう考え方は通用するのでしょうか。

courage4u.hatenablog.jp

 

知見の公開にはセンスが伴う

話を戻します。

そう考えていくと、彼が話した『セキュリティ的な問題です。具体的には、自社内の知見が流出することが一番の問題です』という言葉は、とても難解だなと思うのです。

 

もちろん、出してはならない知見が存在することは確か。

でも、もはや知見は出し合う時代だということも確か。

 

そうすると、出す知見と出さない知見の線引きをどのように行うかがかなり企業のセンスが問われますよね。

それは過去から続く社風も影響すれば、今いる社員たちの考え方も影響するし、これからどのような世界観を構築していこうとしているかという未来感も影響します。

 

このセンスが、これからの時代を創る企業かそうでない陥落する企業なのかを分けるような気もしてきます。

 

 

私は少なくとも、人が流出してすぐに真似されててしまうことは、もはやすぐにでも出して良い知見だなとも思うのですけれど。

真似できないようなことこそ、出さないコアな知見が気がしてくるのです。