『ゆたかな社会』は過去も現代も未来も。
経済学者ジョン・ガルブレイス『ゆたかな社会』を眺めていて、彼の
”現代人は自分が何をしたいのか、分からなくなってしまっている”
という考えに違和感を持ちました。
今日はその話。
ジョン・ガルブレイス『ゆたかな社会』
ジョン・ガルブレイスは、カナダ出身の制度派経済学者でハーバード大学名誉教授。身長は2メートルを超え、偉大な業績とも相まって「経済学の巨人」と評されたらしいのです。
で、彼の最も有名な著作がこちらの『ゆたかな社会』。
どんな著作かと言うと、こんな内容です。
1958年に著された彼の最も有名なベストセラー『ゆたかな社会(邦題)』では、アメリカ経済が成功に向かうためには、大規模な公共事業、例えば高速道路、教育といった分野への投資が必要になるであろうと述べている。また、生産者側の宣伝によって消費者の本来意識されない欲望がかき立てられるとする依存効果(dependence effect)を説いた。
現代人の”欲望”は創り上げられる、、?
こんな内容に絡むところを少し探してみたら、マックス・ホルクハイマーとテオドール・アドルノの『啓蒙の弁証法』というものを見つけました。
ここで言われている1つに、こんなものがあります。
『現代においては、消費者の感性そのものがあらかじめ制作プロダクションの考えに先取りされている。』
この2つので言われていることは、『現代において人がもつ”欲望”は、本来の人が持つ”欲望”ではなく創り上げられた”欲望”である』ということです。
果たしてそれは本当なのでしょうか?
”欲望”自体は確かに創られている
これ自体に関しては、何も違和感がありません。
人は毎日CMや広告などを見続けて、それを見た瞬間、もしくはふと思い出した瞬間、検索や購買等に至ります。
私の最近の例を挙げると、昔から映画が好き、かつその映画を観る環境をどう整えるかに元々フラグがあったのだが、Facebookで見たプロジェクターの広告を見て、時々
ターゲティングされた結果、メルカリで検索して購入するという判断に至りました。
”現代”とは
だが、1つ気になるのはそれがその言論が発表された”現代”に生きる人を対象としていることです。
確かにその当時の面々はそうだったのかもしれませんが、正直その文字の羅列を見てみると、この2017年も同じように言えるように感じるのです。
『現代において人がもつ”欲望”は、本来の人が持つ”欲望”ではなく創り上げられた”欲望”である』
まさに、そうではないでしょうか。
『ゆたかな社会』って?
おそらく、これから先の未来の”現代”も、同じく
『現代において人がもつ”欲望”は、本来の人が持つ”欲望”ではなく創り上げられた”欲望”である』
というのは変わらないのでしょう。
そんなときに、『ゆたかな社会』というのは何を指し示すのか。
最近は、そんな『ゆたかさ』がとても気になる今日この頃です。